不眠症について

疲れているのに眠れないのは、変なことではありません

不眠というと、元気が余って眠れないようなイメージを持つ方もいます。
でも実際には、疲れているのに眠れない という人は少なくありません。

体はしんどい。
早く寝たい。
横にもなっている。
それなのに、頭だけが休まらない。

これは不思議なようでいて、実はよくあることです。

眠るためには、ただ疲れているだけでは足りません。
起きている状態から、休む状態に切り替わること、が必要です。

ところが、気を張る時間が長かった日や、考えごとが続いた日は、
体は疲れていても、その切り替えがうまくいかないことがあります。

たとえば、仕事が終わっても頭の中では会話が続いている。
明日のことを考え始める。
布団に入った瞬間に、昼間は気づかなかったことが急に浮かんでくる。
こういう夜は、眠れないというより、止まり方が分からなくなっている に近いのかもしれません。

不眠が続くと、睡眠導入剤を使っている方も少なくありません。

実際、つらい時期をしのぐために薬が助けになることはありますし、
正しく使うこと自体が悪いわけではありません。
ただし、一方で、ずっと同じ形で頼り続けるだけでは、
根本的な解決には至らないことがあります。
厚労省も、最近の睡眠薬には依存性や認知機能障害の心配が少ないものもあるとしつつ、
長期にわたって漫然と使い続けるのはよくないとしています。

また、日本睡眠学会の資料では、
特に慢性不眠での長期服用・高用量・多剤併用は、
依存や認知機能障害などの副作用リスクを高めうるとされています。

だから不眠のときは、
「眠らせるかどうか」だけではなく、
なぜ休む側に切り替われないのか
を見ていくことも大切です。

寝る前にスマホを見ないようにする。
カフェインを減らす。
そうした工夫で整うこともあります。
でも、工夫をしても変わらないときには、
眠りそのものではなく、
眠りに入っていけない体の状態
を見た方が分かりやすいことがあります。

漢方ではどう考えるか

漢方では、こういう不眠をみるとき、
ただ「眠れない」という結果だけではなく、
何が休みを邪魔しているのか
を考えます。

たとえば、気を張ることが多く、考えが頭から離れない。
胸のあたりまでつかえた感じがあって、眠ろうとしてもほどけていかない。
こういうときは、逍遙顆粒のように、
気分の張りやめぐりの滞りをゆるめながら整えていく方向のものがあります。

一方で、ただ興奮しているというより、
疲れているのに休まりきらない、
眠りが浅く、回復しにくい、
考えごとをするとすぐ消耗する。
そういう不眠では、
「ゆるめる」だけでなく、
心脾顆粒を使って眠りを支える力そのものを養う方が合うこともあります

つまり不眠は、
「眠れないから眠らせる」
という単純な話ではなく、
張りつめているのか、
消耗して休まりきらないのかで、
考え方が変わります。

同じように眠れない夜でも、
気持ちがほどけない不眠と、
疲れの中で浅くなっている不眠では、
選ぶ方向は少し違ってきます。